アメリカ人はおおまかなようで、実は細かいデータを追いかけるのが好き。数学的な感性を持っていると、日・米で活躍した元投手の吉井理人さんが、著書の中でこう指摘している。
大リーグのクラブハウスには、対戦相手の、あらゆる場面の確率を示した資料が置いてある。「初球から真っ直ぐ系を振る確率」「緩い球を振る確率」「どんな球種でも振る確率」「3-2から変化球を見逃す確率」などなど。そういえば、打者によって三塁手がライト前を守ったりする大胆なシフトも、この資料がもとになっているようだ。
目の前の試合に役立つデータだけでなく、過去のあらゆる記録、データを収集、整理、即座に取り出すことにも感心させられる。マリナーズ時代のイチローが安打記録を塗り替えるたびに、不滅と思われていた大昔の最高記録を更新したと評価が倍増した。
昨年、ファイターズの二刀流・大谷翔平選手が「2ケタ勝利・本塁打」を達成したとき、1世紀も前のベーブ・ルース以来だと騒がれたのも、大リーグの記録主義、データ好きのおかげだ。日本のプロ野球もかなり整えてきたが、オリンピック種目へ復活の有力な材料でもあるので、これからも手抜きせず充実させてほしい。
そこへいくと、競馬はアメリカに負けず充実しているねえ。かのヘミングウェイがパリで競馬にイレ込んでいる若いころ、友人から小説を書くヒントを聞かれ、「競馬の予想欄を読むことだ。あらゆるヒントがある」と答えた有名なエピソードがあるが、今の日本の予想欄を見たら、充実ぶりにヘミングウェイも卒倒するのではないか。ただ、それを生かすも殺すも、読み手のセンス、ツキ次第だが。
と妄想が進んだのも、今週のメーンがアメリカJCCというレース名のせいかも。GIIだが、ここにGI5勝、中山得意のゴールドシップに別定58キロで出られては鉄板、と言いたいが、どっこい、その鉄板を突き破るのが(10)フェイムゲームだ。故障で3歳後半を棒に振ったが、復帰した昨年のこのレース3着、天皇賞・春、宝塚記念ともに6着と力をつけ、秋のAR共和国杯完勝でGII初勝利。有馬記念は賞金差で除外されたが、これからが本物、今年はGIも望める器とみた。
■品川達夫(しながわ・たつお) 昭和44(1969)年、夕刊フジ創刊と同時に競馬欄を手掛け、デスク兼記者・予想家として約20年間紙面を汚す。その後、別のジャンルで新聞記者を務めながら競馬は続け、気がつけば「馬じぃ」に。
ゴールドシップはアメリカJCCを勝利できるか?|アメリカJCC予想
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